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日本茶も中国茶もインドの紅茶も「アジアンティー」としてとらえ直すと、韓国、ヴェトナム、タイ、インドネシア、さらには中東までが、私たち日本人と近しい精神の持ち主であることがわかります。
それは一杯のお茶から伝わるもてなしの心。私たちアジア人は客人をもてなすときにまずお茶を出し、地元の茶請けを添えますね。
そこから会話が始まり、心開いて語り合える仲になる。お茶は優れたコミュニケーションツールです。
2002年に「アジアンティーの世界」(河出書房新社刊)という本を出版してから、国境を越えたもてなしの心と日本のお茶請けとのマッチングに目覚めました。
煎茶にトルコのスィーツ??とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、柔らかなぎゅうひにバラの香りをほんのりつけたトルコの餅菓子は、生葉がそのままの緑したたる香りの煎茶にもよく合います。
バラの官能的な香りを緑茶がほどよくおさえてくれるので、紅茶よりはめりはりがつくのです。
以前、宮城県のある村のお年寄りが手作りした油味噌のしそ巻きは、プーアール茶にぴったりでした。
揚げまんじゅうや揚げせんべいなども、煎茶よりプーアール茶のほうがおいしくいただけます。
私は、日本各地を旅するときはできるだけアジアンティーを持参するようにしています。
旅先で地元の銘菓や手作りの漬け物が手に入ると、宿へ戻って数種のアジアンティーとの相性を試してみます。
これがまた楽しい! 日本全国に山ほど有るスローフードと個性豊かなアジアンティーは、組み合わせいかんで新しい味覚を生み出してくれるのです。 |
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先日、函館へ行ってきました。ちょうど雪が2,3日降った後の快晴で、一面銀世界が拡がりそれがプラチナのように陽光に輝いていました。
雪のない季節に歩いた元町とはうって変わり、雪化粧した教会群や洋館は大変趣がありました。
海鮮居酒屋や温泉巡りの合間に、函館でもさっそく地元の古い小さな菓子処をチェック。バターやチーズを使った現代風の北海道スィーツではなく、伝統的な和菓子を探した結果、「べこ餅」というトラッドスィーツに行き当たりました。これは黒砂糖を練り込んだむちむちのお餅。下に笹の葉が敷いてあったので、黒砂糖の甘さに笹の葉の香りが混じり、なんだかとってもひなびた心地よい匂いに仕上がっています。
北海道では,端午の節句の定番菓子だそうですが、お店の人は「焼いて食べてもおいしいですよ」と教えてくれました。 |
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向かって左がべこ餅。 港口茶の茶葉はごらんのように銀灰色。 |
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駅前の市場で人気の500円どんぶり。それ相応の味でした |
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北方民族資料館の看板。 ここはおすすめ! |
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元町のハリストス教会。教会群の一角は四季を通じて散歩にとてもいい |
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中国大陸から北海道に渡来した山東人 |
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「べこ餅」はべこ=牛の毛並みのように黒いからこの名が生まれたのか、べっこうのように茶色いことから「べこ」となったのか、名前の由来はいまひとつはっきりしません。市内の和菓子屋さんなら、1個120〜150円くらいで売っています。私は「べこ餅」をひとかじりしたとたん、これは「港口茶」にどんぴしゃりだと直感しました。
「港口茶」(かんこうちゃ)とは台湾最南端の屏東県満州郷でとれる地方茶のこと。
生産量が少ないため、ほとんどが地元消費されています。 もともとは清代に福建省から伝わった釜炒り緑茶だったのですが、二十年ほど前から凍頂烏龍茶の製法がこの地にもおよび、味の改良が進みました。
一番の特徴は、野性的なほろ苦さを含んだ味わい。これは満州郷の茶畑が冬の季節風にさらされるためと言われています。
恒春半島特有の強風や酸性土、非常に強い紫外線に耐えるために、茶葉が肉厚になりその地方独特の味わいに変化してきました。
満州郷へ行くと「雑種茶」という看板にも出会いますが、これはいくつかの茶種を交配させてより強い茶樹に育てているためです。
とにかくちょっと不思議なお茶であります。緑灰色の姿、野性的な味わい。昨今の台湾の烏龍茶は、どれも上品な香りに仕上げてありますが、厳しい自然環境から生まれた根性ある味です。
この港口茶が、「べこ餅」の黒砂糖の香りに非常に合う!のです。 私が買ったべこ餅は、下に笹の葉が敷いてあったので、よけいに港口茶の香りにぴったりでした。 笹の葉餅や笹の葉でくるんだちまきなどは、みな「港口茶」に合うはずです。台湾最南端でとれる烏龍茶を手に入れて、味わってみて下さい。
台北の茶葉店でもあまり扱っていませんが、高雄市内では可能性あり。
●港口茶の入手先・・・順興茶園 屏東縣満州郷港口村茶山路392-1號 tel: 886-8-880-2696
●ネット販売ならこちらのお店に問い合わせを http://www.charakukan.com/
●べこ餅は函館市内のお餅屋さん、和菓子屋さんにはたいていある
栄餅(こちらは明治33年創業の老舗)
北海道函館市栄町5-13 tel: 0138-22-5482
●北方民族資料館 http://www.zaidan-hakodate.com/hoppominzoku/min.htm
次回は信州上野原の手作り漬け物を取り上げます。さてどんなアジアンティーが合うでしょうか?? |