平野久美子 TOP TOPICS JORNEY TAIWAN DOG BOOKS TEA
第七回 おむつの話し
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  ついに犬用のおむつを購入した。ユニチャーム製、アマゾンストアで26枚入り1790円。というのも、真夜中に庭へ排泄に行き、石や木の根につまずいてねんざでもされたら困るし、何よりもひっくり返ったまま起きられない状態になるとまずい。夜は庭に出さないようにしているので朝の洗濯とりきゅうの体を洗う作業が、毎日一苦労なのだ。だいたい、敷物かベッドが汚れているし、フローリングをみな掃除しなくてはならない。

 これなら夜間だけおむつをつけてもらうのもアリかなと思い、取り寄せたのである。

最近のペット用介護用品の進化ぶりに度肝を抜く。「はあ、こういうものなんですか」としばし見とれる。しっぽの穴さえなければ赤ちゃん用と変わりない。
りきゅうは中型犬なのでLサイズを頼んでみたが、すっかりやせてしまったので胴回りに余裕がある。ただ、今すぐおむつが必要かといえばそうでもない。ご老人だと、おむつをつけた場合尊厳がはなはだしく傷つく人もいて、一気に気力を失うとも聞くが、まさか動物はそんなことないだろう、いやいや、りきゅうのように人間化していれば多少そうしたこともあるかもしれない・・などと気持が揺れ動く。

こう問う私を上目遣いで見るりきゅう。いいかげんにしてよ、と顔に書いてあるような気もする。

ま、とにかく試してみようと思って、一昨日おむつを寝しなにつけさせた。思いの外抵抗せず、おとなしくしている。ひえっ、おむつ姿のりきゅうって、いやだ、人間みたい!けっこう平然としているが付け心地はどうなんだろうか? いちおう説明書きどおりに装着し、朝を待った。

翌朝6時半にりきゅうの部屋におりていった。想像したとおりおむつの中にウンがしてあったけれど、それ以外にあちこちにウンが落ちている!えー、どういうこと?と思ったら、横漏れしたらしい。あれほどしっかり装着したにもかかわらず、やはりずれるのだ。ということは、おむつは寝たきりになった状態でするものなのだろう。りきゅうのように夜中動き回っているうちは効果なし。「3回分がしっかりガード」と書いてあったオシッコはしておらず、結局おしりの汚れはおむつのおかげで普段よりも多く、これは装着時期が早すぎだと反省した。先日、りきゅうのお見舞いに四国から故リックの飼い主小口さんが自宅まで来て下さったとき、おむつのことをもっとよく聞いてみればとかった。 
おむつデビューを果たした
りきゅう。
庭で脚がふらつき雨樋によりかかる。
その周辺線量高くないか心配
床ずれがまだ少し残っているが
ここまでに回復しました!
1年前のりきゅう。
今と違ってふっくら。
 
この日、りきゅうはリックの匂いをかぎ分けるかのように、顔を近づけて彼女の顔をぺろぺろなめた。こんな感情表現をするりきゅうは久しぶりだ。

 5月に亡くなったリックは、りきゅうと同年同月生まれ。里親となった団体も同じで、小さい頃から仲良くしていた。まさか5月に先に旅立つとは思いもしなかったが、亡くなる前の様子を聞くと、これからりきゅうがたどるであろう道のりに思えて仕方ない。リックの写真を沢山持ってきて下さったので懐かしさがこみあげた。写真には、脚が不自由になって傾いて歩いている姿や腕の中で甘えている懐かしい表情があり、あ〜このコももういないんだと思ったら胸にこみあげるものがあった。リックは手厚い介護をしてもらって旅だったから幸せだった

その後、自由が丘でりきゅうが仲良くしてもらっていた故ぽーちゃん、故モカちゃんのママたちといっしょにランチをとった。二頭ともすでに亡くなっているのだが、みなさんまだ手元にいるような話しぶり。お骨がそばにある限りいっしょなのね。リックのお骨もまだ家に置いてあって、毎日話しかけているとか。

亡くなる少し前のリック。
ママに抱かれて幸せそう

ペットロスを乗り越えたみなさんの話しがとても参考になる。でも、どうしても半年ほどは虚脱感に陥ったとか、一ヶ月は涙が止まらなかったとか、「やばい!私もそうなる!」というようなことばかり。妹たちも次の犬を飼うまでに2年半ぐらいかかっていたっけ。しかし、私はりきゅうを失ったらすぐに次のコを捜すつもりだ。それはりきゅうに対して失礼でもなんでもない。彼に注いできた愛が悲嘆で痛まぬうちに次の気の毒なコへ注ぐのである。被災地から引き取っても良いし、また保健所からもらってきてもいい。そんなふうに考えている心中がわかるのか、りきゅうは「こっちは18歳を目指しているのにさ、まだ早いよ」と言う顔で私を見る。