それは戦前のエリート教育にも由来する。エリートの予備軍が集まる旧制高校や帝国大学では、私利私欲を排して公益に尽くす気概や国造りの大志を教えていた。そればかりではない、日本の伝統的な徳目である信義、勇気、仁、克己心、礼節といった心の教育も怠らなかった。台湾に多くの人材を送った札幌農学校(後の北海道帝国大学)もしかり。クラーク校長はあるとき、黒田清隆開発長官に「校則は必要ない。
Be
Gentlemanで十分である」と言った。「紳士たれ」。この言葉は、理論や信条を並べ立てるより、紳士としての行いを自分で考え行動で示せ、と学生に説いたものである。