平野久美子 TOP TOPICS JORNEY TAIWAN DOG BOOKS TEA
 「ロングステイ」台湾編Part2 短期滞在なら日月潭
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 台湾ロングステイの続編として、もうすこし短めの滞在にぴったりの日月潭をご紹介したい。

ロングステイ財団によると、日本人の「ロングステイ」は、半年とか1年のような長期滞在よりも2週間くらいの期間を利用して気分転換や静養をはかり、日本と外国を行き来している中高年の方が多いようだ。

1年中温暖な天候で、お花見や温泉浴もできる中部の南投県は、やはりロングステイに向いている。日本人の受け入れを最初に始めた埔里市には、2005年以来かなりの日本人が住むようになったが、わずらわしいこともなく2週間ほど滞在するなら、台湾きってのレイクリゾート、日月潭のホテルを利用してはどうだろう。
 1999年におきた「9・21大地震」で日月潭もすさまじい被害を受けたが、いまやすっかり立ち直り、以前よりもリゾート地のブランド力が増している。というのも、政府の後押しもあって18億元の工費をかけたデラックス(5つ星)リゾート「函碧楼」(The Lalu )(http://www.thelalu.com.tw/welcome.php)が2003年に開業してから、周囲にも国際級のリゾートホテルが次々出来た。地震で倒壊した「大来(さんずい付く)閣大飯店」も生まれ変わった。スペイン語で湖を表す「Del Lago」(http://www.dellago.com.tw/)という愛称をつけ、ぐんとおしゃれになった。日本のホテルオークラと提携した高層ホテルは「The Lalu」の隣りにもうすぐオープンの予定だし、高級リゾートマンションもすでに建っている。
今回、09年10月に群馬県で行われた新井耕吉郎の胸像除幕式でお知り合いになったオーナーのご好意で、湖畔の[Del Lago]に宿泊した。以前、何度か利用した「The Lalu」の半分以下の値段で、快適にのんびりと過ごせる点がいい。ロケーションも絶好で、湖への観光遊覧船乗り場の真ん前に建っている。
日本語対応も問題なし。総支配人をはじめ、日本語を話せるスタッフが揃っている。
私がよいと感じたのは、サービスや料理にも台湾らしさがあふれていること。「The Lalu」のような無国籍な空間でもないし、宿泊客がちらつかせるスノビズムもない。部屋の設備も使いやすく、ここなら週間単位で過ごしたいと思った。
部屋のインテリアは温かみがあり、什器類も使いやすい。室内に飾られた本物の蘭。本物にこだわるオーナーのこだわりが、こうした小さな配慮にも現れている。
料金は下記のワードファイルを参照ください。
料金表 (DOCファイル/73KB)
電話:886- 49-285-6688
FAX :886-49-2856463
担当者メール :chenjeff@dellago.com.tw
Website:http://www.dellago.com.tw
 ホテルの真ん前には船着き場があり、レンタサイクルも完備している。
「ただし、本格的に楽しまれたい方は、旅客中心の裏手にあるGIANTをおすすめします」とは支配人の弁。そう、台湾のビッグブランド「GIANT」のレンタルショップがすぐ近くにあるのだ。各種の自転車が揃っていて、ヘルメットなどの備品も貸し出してくれる。
また、ホテルサービスの一環として、毎朝午前6時から希望者を近くの猫蘭山のハイキングに案内してくれる。往復5キロほどの散歩は朝食前のエキソサイズにもってこい。途中に、日本統治時代に開いた茶葉改良場をとおるので、新井耕吉郎の顕彰碑も見学することが出来る。新井は、インドのアッサムから植樹した茶の木を育て、改良して、今日の日月潭紅茶を生んだ戦前の技師である。
 海抜1008メートルの猫蘭山の頂上には気象台があり、360度の景色を堪能できる。手軽に雲海と日の出、中央山脈の美しさを堪能できるので人気があるスポットだ。
その日、私は、頂上でお茶を淹れている地元のグループと出会った。
なんと携帯コンロでお湯を沸かし、工夫茶器セットを持参している。
「おはよう! あなた日本人?」
「ええ、ホテルの人に案内してもらって登ってきました」
「今日は天気も良く最高だね。さあ、お茶飲んでいらっしゃい」
日月潭といえば、アッサム系の紅茶が名高いが、頂いたお茶はカナリア色が光る高山茶だった。
 冷たくなった指に茶杯の熱さが心地よく、鼻腔にかぐわしい香りが入り込んでくる。ああ、甘露のなんとすばらしいこと! 口の中で花が開いたようだ。こんなに台湾の高山茶を美味しいと実感したのは何年ぶりだろうか。ずっとずっと前に、阿里山からご来光を見ながら飲んだお茶の、ふくよかな旨さが甦った。
「さあ、もう一杯、どうぞ」
何度も頂くうちに体が温まり、自然界に溶け込むような気持ちよさに包まれた。こんど来るときは、絶対にお気に入りの茶葉を持ってこよう!

 日の出を待ちながらかぐわしいお茶を飲む。こんな至福を10日でも味わったら、生き返ったようになる。掃除や食事の心配がないホテルで、すこしぜいたくにゆっくり過ごすのも自分たちへのご褒美としてたまにはよいでしょう。

 なお、ホテルの付近に小さな食堂がいくつもあるのであちこち食べ歩けばよいし、どこも安い。おすすめは日月潭で採れる「総統魚」(別名は曲腰魚・カワヒラ)や「奇力魚」(コイの仲間)の蒸しもの。また、季節の山菜やタケノコもすごくおいしい。
ホテル一階のレストランもあなどれない。張シェフが作る台湾の家庭風料理は、野菜や付近でとれた山菜がふんだんに使ってあり、薄味で飽きることがない。朝食のビュッフェは和、中、洋と揃っているので、ロングステイ中も十分に楽しめるだろう。
山蘇(タニワタリ)の炒めもの
ゆで豚の野菜添え
del Lagoのシェフ張さん