5月31日、屏東県政府文化処のライブラリーで、拙著『牡丹社事件・マブイの行方 日本と台湾それぞれの和解』の出版報告と内容説明のための記者会見が開かれました。
当日は台湾の主要メディアの皆さんが集まってくださり、このたびの作品の趣旨、内容、執筆経過などなど、たくさんの質問が出ました。
席上私が感心をしたのは20代、30代の記者たちの牡丹社事件への関心がとても大きいことです。正直言って、日本とここまで違うかとびっくりいたしました。
私が強調したのは以下の点です
- 本書は、末裔同士(なんと五代目に当たるのです!)の和解の努力を通して、現代の視点から牡丹社事件を描いた
- 本書は、パイワン族の語り部であるマバリウ・バジロクさんの事件説明、および解釈を初めて掲載した
- 本書は、歴史と文化の相互理解を高め、屏東県への日本人客観光誘致にもつながってほしいとの願いを込めて書いた
記者たちからの質問は1番に関するものが多かったのですが、私個人がどのようにして牡丹社事件に興味を抱いたのか、どれくらい取材に年月をかけたのか、どのくらいの末裔に会ったのかなど、取材の過程に関する質問もかなり出ました。そこで、約4年間、沖縄県、長崎県、大分県と屏東県を何度も往復したことを伝え、人々の心の中を描くことに努力したと話しました。
世界のあちこちで勃発する紛争、争いは、互いを理解しようとせず、自分たちの論理で相手を見下すところからさまざまな誤解と憎悪が生まれた結果です、
私が本書で紹介した和解劇は、ささやかな努力かもしれません。しかし世界中の人々がこうした努力を繰り広げれば、世の中はもっと平和で愛に満ちたものになるはずです。
そのことが、若い世代の記者たちを通じて台湾にも知らされれば嬉しい限りです。
ようやく出版となり、書評もぼちぼち出ておりますが、次は中文版を目指して努力したいと思っております。
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