平野久美子 TOP TOPICS JORNEY TAIWAN DOG BOOKS TEA
維新の志士、品川弥次郎の書簡を寄贈することに。
 
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先日、上山の叔父から相談された一件で、来月萩市立博物館の学芸員とお目にかかることになった。というのは、吉田松陰門下の松下村塾生であり尊王攘夷運動に奔走、明治維新後、松方内閣の内務大臣になった品川弥次郎(1843〜1900)の書簡を、故郷の萩市に寄付することにしたからだ。この書簡は、台湾総督をしていた上山満之進と品川との関係から、叔父が代々引き継いで保存していたのだが、手元に置くよりもどこか、意味あるところに寄贈したいと相談されたもの。そこで、とりあえず品川弥次郎の郷里である萩の市立博物館に相談したところ、全く読めずにお手上げ状態だった書簡を解読してくれたうえに、貴重な資料だから喜んでお引き受けする、というありがたい返事をいただいた。
書簡の内容は、弥次郎が、愛知県知事をしていた沖守固に、知り合いの世話を頼む内容などが主で、残念ながら直接萩市とは関係ないが、彼が当時、どんな人脈を持ち、どのような立場で動いていたのかを知る資料にはなる。つまり、体系的な研究のパーツのひとつにはなりうると思う。
それにしても、なんと書のみごとなことか。たった150年ほどの間に、書や漢文の素養は、現代の私たちから消え失せてしまった。明治生まれの祖父は四書五経を手元に置き、論語をそらんじる人だった。祖父が元気なうちにもっと教えてもらえばよかったと、いまになって後悔している。ちょうど夭折した天才小説家中島敦の作品集を読んでいるところなので、古典の知識がいかに教養を形作っているかをつくづく感じるのだ。(ため息のみ)。
というわけで、「台湾世界遺産候補地案内」がレイアウトに回っている間、時間をつくって、萩市の市立博物館を訪ね、叔父に代わって書簡を寄贈し、ついでに萩市の維新関連の史跡を見学しようと思っている。飛行機ではなくて、新幹線と列車を乗り継いでいこうと思う。楽しみだ。