昨年から、いえ、最初の打ち合わせを入れれば2年がかりになった「無名偉人伝」がようやく完成しました。
1945年3月東京大空襲で、家族全員を失うという悲惨な体験をばねに、戦後医師となり、88歳まで地域医療に尽くし、患者にとって「心のふるさと」であり続けようと努力したひとりの女医の評伝です。
私は5年前に父を老衰の自然死で見送り、10年前に叔母を思わぬ医療事故でなくしました。このふたつの死に際し、患者の側に立った人間の医療とはなんだろう?と考えざるを得ませんでした。失われた医療の本質を問うような、そんな町医者の存在を知ってほしい。それがこの評伝の執筆を引き受けたきっかけです。
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