平野久美子 TOP TOPICS JORNEY TAIWAN DOG BOOKS TEA
10月22日、台中の文化資産局を訪問しました
 
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 私が理事を務めている「日本から台湾の世界遺産候補地を応援する会」の活動についてご報告いたします。

 10月22日に、台中の文化資産局へ台湾在住の藍理事といっしょに出かけ、局長、副局長らと面談してきました。まず、我々のこの1年間の活動を説明し、台湾の世界遺産候補地が日本人の間でも少しづつ知られるようになったことを報告。施國隆局長は、2013年4月に訪問したとき副局長の立場としてすでに我々と会っておられることもあり、こちらの活動に理解を示して下さっています。そのため、友好的にスムーズに話しができました。 今回の訪問の主な目的は、文化資産局の方針を改めて伺い、今後の協力活動をどのように進めていけばよいかの意見交換でした。
 今年の6月に公示が出たとおり、現在文化資産局では2012年に定めた18箇所の候補地の洗い直し作業を行っています。毎月担当者と専門家がチームを組んで候補地を順に廻り、遺跡や景観の保存状況を確認。地方自治体の担当者と討議して新たな申請書を出すよう促し、それをもとにまたさらに検討会を開いて審査をするそう です。

 この情報を日本で聞いたときは、ひょっとして現在の18箇所が大きく変わるのではないか? つまり、数がぐんと減ったり、新しい候補地と入れ替わるのではないか? と心配したのですが・・・。というのも、文化遺産のほとんどは日本統治時代に関する遺跡や建造物ですから、穿った見方をすればこれらの見直しもあるうると。

 今年は阿里山、馬祖島、金門島が予算を貰って資料制作や整備を行っています。これらはすべて大陸客の絶大な人気を誇る観光地ですから、やはり大陸寄りの候補地を優先しているということなのでしょうか? 将来、大陸と共同申請することもありえるのでしょうか?

 そこで、新しい候補地選定の見通しを訊ねたところ、すでに決まっている18箇所については基本的にそのままとし、新たに申請が出ている景観地を検討しているそうです。ただし、現場の状態が悪かったり、勧告どおりに保存がなされていないところは指導し、それでも改善されぬ場合はリストから削除するそうです。

 中国との共同申請の可能性については、「日本と共同申請するより実際問題難しい。現実的ではありません」という局長のお返事。やはり、国家のアイデンティティーにつながる政治問題となりますから、中国との共同申請は考えていないようです。日本に対しては、烏山頭ダムを中心とする嘉南大圳や同時期に建てられたハンセン病隔離療養施設跡「楽生院」(どちらも文化遺産候補地)を、さらに広報、応援することを期待なさっているようでした。ちょうど日本の岡山県にあるハンセン病施設国立「長島愛生園」が、世界遺産登録を目指す運動を始めたところなので、そのパンフレットをお渡ししてきました。

http://www.nhk.or.jp/okayama-mogitate-blog/700/168693.html

 さらに局長のお話では、台湾側も国家資格のガイドさんたちに世界遺産候補地の学習会をしっかり行い、マスターガイドを育てたいそうです。こうなれば観光ともリンクしてより多くの人が台湾の素晴らしい世界遺産候補地を知る機会が増えることでしょう。当会からもぜひスタディーツァーを実現させたいものです。